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医食同源と薬食同源:健康・食事豆知識

医食同源と薬食同源

健康と食事をテーマに、食生活を見直していると、医食同源・薬食同源という考え方も参考になります。

薬膳に代表されるように、医食同源、薬食同源も中国から伝来したものだと思われていますが、なんと日本での造語でした。

医食同源は、1970年代に入って、栄養第一主義の欧米食文化への反省や、日中国交回復を機にした中国文化の再認識の中から、中国式食養生が日本でもブームになったとされています。
しかし、一般的に使われるようになったのは、1990年代に入ってから。

朝日新聞の記事見出データベースの初出は1991年3月13日であり、『広辞苑』では第三版には無く、1991年の第四版から収載されていました。

医食同源の思想-成立と展開

『月間しにか』9巻10号72-77頁、1998年10月号で、医食同源の思想から成立と展開(真柳 誠:茨城大学教授)が解説されています。

注目すべきは、漢字文化圏の文化を扱う総合雑誌で取り上げられたということと、
著者が茨城大学・中国科学史の教授であることです。

※『月刊しにか』(大修館書店): 、1990年創刊~2004年3月号で休刊。

ここには、
医食同源と薬膳の語源、医食同源のルーツ 食医の存在と五味、五味論と食宜・食禁、食医思想の影響の4項目にまとめられていますので、
一部抜粋して紹介しておきます。

真柳誠「医食同源の思想-成立と展開 」

医食同源と薬膳の語源

最近の大型国語辞典の多くに、医食同源は中国の古くからの言葉などと書いてあるが、出典を記すものはない。

一方、新宿クッキングアカデミー校長の新居裕久氏は、1972年のNHK『きょうの料理』9月号で中国の薬食同源を紹介するとき、薬では化学薬品と誤解されるので、薬を医に変え医食同源を造語したと述懐している。

国会図書館の蔵書データベースでは、1972年刊の藤井建『医食同源 中国三千年の健康秘法』が最も早く、のち「医食同源」をうたう書が続出してくる。

医食同源のルーツ 食医の存在と五味

中国古代には食事治療専門医がいたという。

『周礼』天官に定める医師四種の筆頭の食医がそれで、王の食事を調理するのに「春に酸を多く、夏に苦を多く、秋に辛を多く、冬に鹹を多く、調えるに甘滑」と五味を重視する。

『管子』幼官・『呂氏春秋』本味・『淮南子』時則訓などからしても、五味に何らかの作用や性格があるという認識が、相当早くから芽生えていたことは疑いない。

たしかに一世紀の『神農本草経』は序録で「薬に酸鹹甘苦辛の五味あり」といい、各薬にも五味を規定する。

五味論と食宜・食禁

このように食物の栄養素に近い概念だった五味の作用について、異なる論説が同じ図式で語られ、また同じ論説が異なる発展的図式で語られていた。これは、こうした論理的図式を用いて五味論を構築した学派が、利用する図式を発展させながら真剣な議論を漢代までに重ねていたことを意味する。それを担った主体には、当然ながら『周礼』の食医に類した職業集団の存在を想定するしかないだろう。

食医思想の影響:抜粋

『神農本草経』を核に発展した中国薬物学の歴代本草書には、ふつうの薬物治療には使用されない穀物・野菜・果実・鳥獣・魚貝などが当初から収載されてきた。およそ純然たる食物でも、本草に記載のないものはないといっていい。真偽や有効程度はさておき、それらのことごとくに何らかの効能が記述してある。この本草体系が背景にあるからこそ、薬食同源や医食同源の造語が生まれたのである。

出典:真柳誠[著述等目録]2018年7月18日現在<真柳誠「医食同源の思想-成立と展開 」『しにか』9巻10号72-77頁、1998年10月

2010年味の素が主催した公開シンポジウム

テーマ 「食とこころ・からだー医食同源に学ぶー」人類が長年求め続けてきた健康とは、食事とこころの両面が重要であることと再認識しつつ、「医食同源」の思想と根拠にふれ、食文化の視点から”食”と”こころ・からだ”を探ります。
第一部
基調講演 津金昌一郎氏(独)国立がん研究センター がん予防・検診研究センター予防研究部長
第二部
パネルディスカッション
コーデイネーター:北山晴一氏(大阪樟蔭女子大学教授)
パネリスト:謝敏琪氏(㈱星福薬膳企画代表取締役社長)
鈴木眞理氏(政策研究大学院大学教授)
真柳 誠氏(茨城大学教授)

ここで、真柳氏は、
日中医学史の専門家として、中国に古くから伝わる「薬食同源」の思想、それを元に日本で造られた「医食同源」の考え方と背景等について紹介しています。

リゾートホテル料理長と医食同源

1991年12月12日に、北海道初「ヒューマン・グリーン・プラン」の第1号に認定されたキロロリゾートがオープンしました。

ヤマハ、ヤマハ発動機、ヤマハ北海道リゾート開発によるヤマハグループが中心となり、地元赤井川村も出資をした第三セクター「株式会社赤井川森林レクリェーション開発公社」によるスキーリゾートですが、
初代料理長後藤震太郎氏は、地産地消にこだわり、フレンチ出身にもかかわらず、1991年のオープン準備の段階から医食同源の考え方をリゾートホテルのレストランメニュー開発に取り組みました。

そして、1992年からキロロリゾート主催の「食遊会」という会費制パーティーで、そのメニューの数々を披露しています。

後藤震太郎:富士屋ホテル料理長、ロサンゼルス日本領事館総料理長、キロロリゾート総料理長を経て、オーベルジュ支配人
NCリゾートグループ総料理長などを歴任。
最新情報⇒福井県レインボーラインにカフェ登場

まちなか中国料理店と医食同源

富士見台 源烹輪(げんぽうりん)

医食同源、薬食同源という言葉は使っていませんが、
滋味滋養溢れる本格中国家庭料理をコンセプトにする店「源烹輪」が、
富士見台駅南口ふじみ銀座通り(中野区上鷺宮)に2000年にオープン。

『源烹輪』という言葉には、
「様々な困難を力強く打開し続ける料理の源」
という意味があります。

出典:源烹輪

富士見台 中国菜館 嘉門

同じ富士見台駅南には、医食同源をうたった中国料理店「中国菜館 嘉門」が2011年9月から営業しています。

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初稿:2013年11月11日
最新更新:2018年7月18日

 

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